学習プログラム
ビジョントレーニング
ビジョントレーニングとは視覚機能の力(見る力)を高めるためのトレーニングの名称です。
ものを見る力(視覚機能)は生まれつき備わっているわけではありません。
徐々に発達をしていき、通常は6歳くらいまでに土台ができあがります。
しかし、何らかの問題があってうまく発達しない場合、小学校に入ってから学習でつまずき、原因がわからないままに「僕は勉強ができないのだ」「私は運動ができないのだ」と自信を失ってしまうこともあります。
また、本人もほかの人と「見え方」を比べることができないため、自分の「見え方」に問題があるかどうかは、意外と気づきにくいのです。
本が読みにくかったり、文字が書けなかったりすることが実は視覚機能の問題であることに気づかずに、勉強嫌いになってしまうお子さんはきっと多くいることでしょう。
また、視覚機能が十分に発達しないまま大人になり、そのことで苦労しながら生活している人もいることでしょう。
視覚機能には大きく分けて2つの機能があります。
- 1視覚情報を脳に入力する機能
- 視力、眼球運動、両目のチームワークなど
- 2視覚情報を脳で処理する機能
- 視覚空間情報を認知しイメージする機能、自分の体・体の動きをイメージする機能
の2つの機能を持っています。
特に発達障害と「見えにくさ(視覚機能の困難)」においては関係性が強いといわれています。
学習障害(LD)、注意欠陥・他動性障害(ADHD)といわれるお子さんの中には、視覚機能の問題がみられることが多くあります。
ADHDは、脳の前頭葉の神経伝達の問題ともいわれています。
眼球運動は前頭葉でコントロールされているので、ADHDのお子さんにとって眼球運動のトレーニングをすることは、前頭葉のトレーニング・注意力のトレーニングにもなると考えられます。
また、自閉的傾向(社会性、コミュニケーションの弱さがみられる)があるといわれているお子さんのなかにも、視覚機能の問題がみられることがあります。
早い段階で『ビジョントレーニング』を始めることができれば子供のやる気や自信を育むことができるのではないでしょうか。
ビジョントレーニングを行うことによって次のような効果を得ることが期待できます。
- 書く力
- 文字を崩さずに正しい形で書ける・ノートに書かれているマス目や行からはみ出さずに書ける・図形の形を正しく描くことができる
- 読む力
- 行間の読み飛ばしや、読み間違いをせずに音読できる・文章の意味を理解する力が身についていく
- 手指の作業
- ハサミやカッターなどを使い曲線なども正確に切ることができる・定規等をつかって正確な図形を描いたり、正確な線を引くことができる・紙を折ったり、貼ったりする作業をすることができる
- 集中力
- 授業中、しっかりと勉強に集中することができる・長い時間でも本を読むことができる
- 記憶力
- ひらがなや漢字等、正しい形で記憶することができる・学習において記憶の積み重ねが増えてくる・約束したことを忘れたり、忘れ物をしたりすることが軽減される
- イメージ力
- パズルの見本を見て、同じ形にパズルを作ることができる・図形を正確にイメージして形を思いうかべることができる・方向、方角の認識を身につけることができる
- 運動する力・バランス感覚
- ボールを上手く受け止めることができる・縄跳びなどの跳躍運動が苦手ではなくなる・ダンスや体操など、目の前のお手本通りに真似ることができる
※2/29(土)ビジョントレーニング講義に参加された一部の方の感想を掲載しています。
~ビジョントレーニング講義に参加されて~
- ビジョントレーニング講義を通して色々な大切な事を学ばせていただきました。たくさん悩みましたが、日々努力したらかわるんだなぁ・・・と先生のお話を聞いて励みになりました。
- 意外と眼の力の弱さで、コミュニケーションの失敗がありそうだなと感じました。
- 息子が放デイで取り組んでいるビジョントレーニングの内容を聞いてはいたのですが、実際に体験してみると意外と難しいということが分かりました。自閉症スペクトラム、ADDと診断がついている息子は、いつも体のどこかが動いていて落ち着いて姿勢を保つのが苦手なのですが、トレーニングを通じて体の軸がしっかりしてくる効果もあるのかなと感じました。
- ビジョントレーニングについてもっと周知されると良いのではないかと思いました。
- 特別な支援を必要とする子供の目の使い方を見ていきたいと思います。
SST講座
SSTとは、社会生活技能訓練の略称であり、卒業後社会生活を見据えて身に着けて欲しい知識を講義形式で行います。
ビジネスマナー(※)やCST(コミュニケーション)項目も楽しみながら学習していきます。
※ビジネスマナー:あいさつ、身だしなみ、言葉づかい、指示の受け方など